鍼治療している時に「ズーンとひびく感じ」「重い感じ」 がするのですがなぜですか?
鍼を刺した後に「鍼を回転させる」「小さく振動を加える」「鍼を弾く」などの手技を組み合わせる事で、「ズンとひびく」感じを得ることができます。その他にも「電気が走るようなびりっとする感覚」「押されるような圧迫感」「絡まるような引き連れた感じ」など治療の目的に応じてさまざまな感触を得ることができます。
この刺激の事を「ひびき(響き)」といい、ひびきを感じる事を「得気を得る」と表現します。
この「ひびき感」は、鍼灸師の技量や経験によって操作されていますので、「重い感じがするから悪い部分」という訳ではありません。
「痛い」と「ひびき感」は違うの?
「痛い」とは、注射針で皮膚を切皮する時に感じる「チクッ」とする【不快な感覚】をさします。
「ひびき」とは、「気」をコントロールしている時に感じる感触の事をいい、鍼灸師が鍼を用いて患者さんに「気」を送る事でお互いに感じ取りながら【気を巡らせる感覚】のことをさします。具体的には、全身を循環している経絡の情報伝達や経脈、体の構成物質としての気血の流れを誘導する時に感じ得る手法と考えることができると思います。
「ひびき感」の種類は4種類あります。
・酸:だるい感じ
・脹:張ったような感じ
・重:圧迫された感じ
・麻:しびれたような感じ
その他、
・散:ジワジワ広がる感じ、 ・温:温かい感覚が広がる と表現される方もいます。
上記のような感触は受け手の感受性に合っていれば「気持ちいい~」と感じられるようになります。すべての「ひびき」が好きな方もいれば、何種類だけは好きという方もいます。
現在通院中の方の8割以上の方が、何らかの「ひびき」を感じながら施術を受けておられます。
気って何?どんな種類があるの?
日常的に「気」という言葉は会話でも頻繁に使われていますが、例えば、元気、気配、気まぐれ、気持ち、気が付く、気分・・などなど。その多くは精神的な意味合いで用いるられており、見えないけど実際には「もの」としてとらえられています。
「気」は、科学的には確認できなくても多くの種類がありさまざまな働きをしています。
気には主に4つの種類があります。
① 宗気:心拍運動や呼吸運動の働きや、経絡血脈では血と津液の流れを促進します。
② 営気:血や津液とともに全身を栄養し潤します。
③ 衛気:体表を防衛し病邪の侵入を防いだり、体や臓器を温める作用があります。
④ 元気:成長を促進したり臓腑や経絡の活力を旺盛にします。
その他、
正気:病気に対抗する作用「抵抗力・免疫力・治癒力」
経気:経絡や経脈に流れている気
臓腑の気:五臓六腑の機能をコントロールする気
鍼灸治療は、鍼と灸を用いてこれらの働きをする「気」をコントロールしながら、悪い気を取り除いたり気が不足している人には補充したりします。
鍼が初めての方やまだ慣れていない方には・・
鍼灸治療は「ひびき」を得る事が目的ではなく、あくまでも患者さんの体調を良くする事、気持ちよく感じていたく事が目的ですので、この感覚が苦手な方には「ひびき」を出さない手技を行っています。
特に、鍼が初めての方や敏感な方、恐怖心が大きい方にはこの「ひびき」の感覚は致しておりません。なぜならば慣れるまでは不快に感じたり痛いと感じてしまいがちだからです。当院では、初めての方には別の施術方法(多数のツボを用いてやさしい鍼を打つ施術)を行っておりますのでご安心ください。
このように、おひとりおひとりに合わせて対応させていだきますので、「私はひびきが好きです」「重い感じで」「やさしい刺激で」など刺激量や好みをお伝えてください。