ブログ

パソコン業務が多くて目の奥が痛く頭痛・肩こりもよく起こります。鍼灸で良くなりますか。

 2年前より職場で経理の仕事をしているのですが、ほぼ一日中ディスプレイを見ながらの作業です。家でも、スマホを見る時間が多くて、そのせいか最近では朝から何となく体がだるくて全身の疲れが取れていない感じがします。パソコンを見ると目がちかちかしたり、頭痛が起こるようになり、目の奥の痛みがさらに増している感じがします。

眼科ではドライアイと診断され、こまめに目薬をするようにしたら最近ではちかちかした感じは軽減してきましたが、時々頭痛が起こるのと体の疲れがなかなか取れないのが気になります。できれば薬を飲みたくありません。

(Mさん、23歳)

 

主訴;頭痛、目の痛み、体のだるくて疲れが取れない

既往歴なし

診断:ドライアイ

その他の症状:肩こり、首凝り、腰痛、寝不足ぎみ、手首が痛い(右)慢性鼻炎、副鼻腔炎を起こしやすい

 

初見

痛み: 肩:放散痛 (左)+・(右)+++、 首:突っ張る(左右)+++、 手首(右)屈曲時++、 手指第3指(右)++、 腰:鈍痛(右)++、 下肢冷え++ 下肢むくみ+

右の上顎洞がやや重い:

微熱:37,2

バイタルサイン:正常

 

 

 

 

 

Q:

パソコンなどのディスプレイを使った長時間の作業により、体や目の不調、さらに心にも影響が表れてくる症状のことをVDT症候群と言います。

具体的な症状として、

 

①目の疲れや痛み

眼精疲労といい、視力低下、結膜炎、ドライアイ、目の奥が痛い、目がかすむなど目に関する不調、また、過度に酷使しすぎると、頭痛、めまい、額の圧迫感、吐き気などの症状もおこります。

 

②肩こり、首こり、手の痛み

パソコン作業はテレビを見る姿勢とは違って頭や腕を固定しながらの作業なので、姿勢が固まってしまい、首や肩、手首の痛み、腰痛、背中の痛み、しびれなどの症状が現れます。

マウスの長時間使用やキーボードをたたき続けることにより、腱鞘炎、手のしびれ、手根管症候群など、また、座りっぱなしによる、股関節の痛み、足の冷え、むくみなどを招く事もあります。

 

 さらに悪化すると・・

 

③慢性的な頭痛、食欲低下、イライラするなどの心の病へと・・

睡眠障害、食欲不振、吐き気、また、心の病が起こるとしうつ病や心身症などに発展する事もあります。

 

 

 

 

Mさんに行った鍼灸治療について

 

Mさんの場合、眼精疲労は眼科で処方された目薬で緩和されていましたので、目の奥の痛みと頭痛、不良姿勢からくる体の疲労感、随伴症状に対して問診と鍼灸施術をしました。

 

頭痛・目の奥の痛みに対して

 

頭痛は鍼灸の不適応な場合が多々ありますので、適応かどうかきちんと鑑別することが大切です。Mさんは、発熱、高血圧、麻痺やしびれなどの症状、後頚部の硬直、精神症状を伴う頭痛、激烈な痛み、これらを訴えていなかったので、まずは鍼灸の適応と判断しました。

Mさんの頭痛のタイプは、不定期に起こる「ズキンズキンと拍動する頭痛」と「後頚部の重い感じの頭痛」とがランダムに発症していたので、施術する前に毎回問診を行い確認していました。月に3~5回程3か月ぐらい施術をするうちに、以下の4つのパターンで発症することが判明しました。

 

 ① 月末や仕事が忙しい時にはズキンズキンと拍動する「三叉神経に関係する血管性の片頭痛」が起こる。

 ② 生理中にいつもより頻繁に「目の奥の痛み・持続性のある締め付けるような痛み」が起こる。

 ③ 不良姿勢と虚血時に「後頚部の筋収縮性の頭痛」が起こる。

 ④ これらの「複合型の頭痛」が生理中と排卵時に起こる。

 

 → 特に生理中に④が起こると、随伴症状として吐き気や手首の痛みが悪化することがある。

 

 

触診として、

「どの筋にトリガーが存在するのか?」「どの筋が頭部に痛みを投射するのか?」を断定するために【筋緊張】【圧痛点】【トリガーポイント】を特に重点的に確認し、また、頸動脈を含めて頭部後頚部にある該当する【血管の触診】も行いました。

 

鍼灸治療として、

Mさんは、痛みに対して敏感になっていたので【頭部にあるツボ】に鍼をして、痛みに対する閾値を上げました。また、①血管性の頭痛が発生している時には【浅側頭動脈】【後頭動脈】などに動脈傍刺、②③の筋収縮性の時は、丁寧に筋肉を触診して頸肩の緊張を緩める鍼灸施術を行いました。

 

 

疲労感・下肢のむくみと冷え、睡眠の質の低下、やる気がない その他の不調について、

 

Mさんの場合は一人暮らしをされていて外食が多かったこと、就寝時間が遅く生活習慣がやや乱れていました。初回の問診時に、運動不足、ダイエットのために炭水化物を取っていなかった事、入浴はシャワーのみ、睡眠不足など、気になる項目が多々ありました。

その為、私が日常生活のアドバイスをするというのでなく、ご自分から気楽な感じで一週間のお話をしていただく【自己報告】の方法をとりました。言葉にする事で自身で気が付いて改善していただく事が目的でしたので、狙いどおり積極的に改善してくれていたおかげで、ここでは疲労感・腰痛に対する施術のみ行い、他は日に日に改善されていきました。

ただ一点「上顎洞の重だるさ」に対する施術はなかなか改善が見られませんでしたので、一度診断を受けていただくようアドバイス、病院では【軽度の副鼻腔炎】と診断を受けました。

 

Mさんの場合、パソコン業務は仕事では欠かせないものとなっているので、作業中は意識してまばたきをするとか人工涙液(防腐剤に入っていない目薬)をこまめに点眼するなどして、ドライアイになる前に対処しておくとその他の症状に移行したり悪化するのをだいぶ未然に防げます。

また、睡眠時間の不足や質の低下でも涙不足が起こる場合があるので、規則正しい生活をしているのかなど会話で確認させていただきました。

副鼻腔の不調からも前頭葉部や頭部の重だるさは現れます。冬場は外気温が下がりますのでMさんの場合は、気管支系の不調も含め注意しながら現在も問診・施術を進めています。

 

 

 

VDT症候群にならないための

よいオフィス環境と正しい姿勢

 

VDT症候群を事前に予防する為には、デスクワーク時には体に無理のない姿勢をとりこまめに体を動かしたり、目の疲れが現れる前に意識して休息をとるようにしましょう。

 

①長時間の連続作業はダメ

 ディスプレイを凝視してしますと、知らず知らずのうちに瞬き回数の減少・涙の量の減少、目に負担がかかり視力低下や感染症にもかかりやすくなります。

ディスプレイの位置は目線より下へ

冷暖房の調節をこまめにして目の乾燥を防ぐ

適度に休憩を取り 疲れたら温めたり冷やしたりして目

 

②不良姿勢はダメ 

 椅子の高さ、腕の位置、足裏は全体が床に着くようにして机の下はゆとりのあるスペースを確保して足元は広く

 

③室内の照明・採光

 部屋全体を明るくし、室内と手元の明るさは同等に、また、窓からの外光は直接画面や書類に当たらないように