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生理が止まったのは・・・お灸のやり過ぎ?

はじめに

基本的に鍼灸は副作用がありませんので、円皮針やお灸もきちんと東洋医学の診断を受ければご自宅でも心地よく続けられるのですが、気持ちが良いからと言って多用すると、頭痛、生理が止まる、微熱が続く、食欲不振、めまい、のぼせ症状、体がだるい、やる気が出ないなどの体調不良を起こす場合があります。

お灸の専門家の指示に従って、その都度体調に合わせて適切なツボをチェックしてもらいながら家灸を楽しんでいただけたらと思います。

 

 

今回は、ご自分の判断で安易に「家灸」を多用してしまい、逆に体調不良を起こしてしまった一例を上げました。

 

Oさんの一例

30歳のやせ型の女性です。学生時代は体育会系の部活にも積極的に参加するなどもともとは活発で健康な方でしたが、社会人になり務めるようになったころから生理が不順になり始めました。まだ結婚の予定もなかったので深刻に考えていませんでした。その後5年が過ぎ相変わらず仕事に追われる毎日でしたが、結婚することになりその準備もありさらに忙しくなると、だんだんと疲れが蓄積してきて休日になると夕方近くまで起きれず、食欲も以前の半分くらいに減ってきました。生理周期もさらに不順になり3か月近く来ない時もあり生理痛も激しくなっていました。そんなOさんの体調変化や生活の不摂生を見ていて、お母さまが当院に連れてきてくださいました。

お話を伺ったところ、生理周期が以前は37日だったのが、1年前から50日~3か月とさらに不順になり、月経血は塊が多く量が以前より少なくなり、夕方になるとほぼ毎日全身のだるさや気分が落ち込むようになってきました。また、食事も以前はてんぷらや空揚げなどが好物だったのに欲しがらなくなったとのお話でした。

さっそく、鍼とお灸、お灸は「へそ灸」「棒灸」「灸頭鍼」を組み合わせながら温熱刺激中心の施術を行いました。Oさんは初めての鍼灸治療でしたが「気持ちが良いです」と、その後も指導した通り定期的に通院しながら家でもお灸をする事約半年間継続していました。月経周期は少し長めでしたが定期的に40日周期で来るようになり、体調もだいぶ回復してきたとのことで、いったん施術は終了しました。

しかしその約1年後に「3か月生理が来なくなった」との問い合わせがあり来院されました。その他微熱が続いてのぼせがあるとのことでした。それ以外は以前の時のような食欲低下や疲れやすいなどの症状はなく、生活習慣でも大きな不摂生はありませんでした。

微熱が続くのはあまりよくありませんので詳しくお話をうかがい大きな疾患が隠れていないか選別しました。

その結果、Oさんはこの1年間、当時していた所と同じ場所とさらに独自の判断でツボを増やして毎日お灸をしていた事が判明しました。

 

 

見解

Oさんはもともと痩せ気味で代謝もよく、病気した事がなかった方ですので、冷えを取り除いて気の温煦作用と推動作用が回復すれば、この方の場合は自宅でお灸をする必要がありませんでした。それにも関わらずご自分のもともとの体質を加味せず、当時の刺激を毎日継続したことで陰血を消耗し微熱を発症、陰虚証に進み生理が止まってしまったのだと推測しました。

家でのお灸はやめることと、鍼で陰虚の施術をしたところ、3か月ほどですぐ生理が再開しました。

 

 

まとめ

初めて来院された時とその後回復された時とではお体の状態は違いますので、もちろん刺激方法や施術頻度も変わります。独自の判断で使用する場合は、注意しながらしていただきたいと感じた一例でした。