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坐骨神経痛に対する鍼灸治療

病歴:出産がきっかけで坐骨神経痛が起こり、2年経っても時々症状が出ます。
痛みはお尻から太ももの後ろにかけてしびれる鋭い感じで、時々熱くなる時があります。
外出時は自転車を使うようにしているので発症しないのですが、買い物をする時などついつい歩きすぎてしまうと痛みが起こり、少し休憩をとると緩和してくるのですが一度発症すると一日中その繰り返しです。足はとても冷たいです。また、ずっと同じ姿勢でいるととくに座り姿勢だと痛くなります。かばっているせいか肩や頸も違和感があります。
病院と併用して鍼灸も受けたいとおもっています。

 

症例

性別:女性
年齢:36歳
主訴:坐骨神経痛によるお尻・大腿部の痛み、肩こり頸の凝り
バタルサイン:正常範囲

初診時:SLR検査:左右とも(-)・腰部知覚(L3-4)左>右やや減

  ・肩の知覚左>右やや減 ・膝蓋腱反射(-)・足の第一指知覚(-)

既往歴:なし

 

 

 

坐骨神経痛とは・・

平たく言うと「坐骨神経が何らかによって圧迫されたり刺激を受ける事で、お尻から足の後ろ側にかけて痛みやしびれが現れる症状」の事を言います。

 

 

坐骨神経痛の原因と症状

 

原因として

腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、腰椎すべり症、梨状筋症候群、仙腸関節炎など。 若い方は「椎間板ヘルニア」「梨状筋症候群」が多く、ご年配の方は「腰部脊柱管狭窄」「椎間板ヘルニア」が多いいです。多くは、腰椎に障害が起こり坐骨神経が圧迫されて、痛みやしびれを引き起こします。

症状として

坐骨神経に障害が起こると、神経の走行に沿って症状が起こります。部位で言うと、お尻、太もも、ふくらはぎ、足先にかけて、走るような痛みやしびれ、締め付ける感じ、冷えや熱い感じなどの強くて鋭い感じのさまざまな症状が起きます。

 

坐骨神経痛の診断

坐骨神経痛は病名ではなく症状ですので、まずレントゲンやMRIで確定診断を行っていただき、鍼灸の対象になるか鑑別しました。

Sさんの場合は、画像診断で腰椎椎間板ヘルニアが見つかりましたが、対処療法は出来るとの事でしたので鍼灸治療を行いました。
当院では、まず、理学検査の挙上試験、「間歇歩行」があるので血管性か神経性かを鑑別、また、梨状筋症候群や仙腸関節炎の可能性もあるので、触診と問診を丁寧に行いました。

 

間歇歩行がある場合は・・

間歇歩行の症状が現れている場合は、まずどのタイプなのか絞り込む事が大切です。主に、血管性、神経性、脊髄性の疾患のものの3タイプがあり、それぞれ施術のアプローチの方法が違ってきます。施術する前に、きちんと問診や理学療法、触診などを行い鑑別しておくことが大切で、早期の改善にもつながります。

神経性としては「脊椎管狭窄症」、血管性の代表として「閉塞性動脈硬化症」や「バージャー病」があげられます。
Sさんの場合は、36才とまだお若い事、そして女性である事、挙上試験をしても陰性であった事、下肢の動脈3部位の触診で(-)、画像診断、喫煙なしなど日常生活と家族歴などの問診から、「血管性」「脊髄性」の坐骨神経痛ではないと判断しました。

 

 

 

Sさんに行った鍼灸治療

 

一通りの診察を行い、Sさんの場合は、L3-L4間の腰椎椎間板ヘルニアによる障害、梨状筋症候群によるものと判断し、腰部と臀部周辺に鍼灸施術をおこないました。

鍼灸は初めての方でしたが、痛みには強いとのお話でしたので本人の希望で鍼は4番を使用しし、L3-L4部分の腰部の筋に左右4本通電を行いました。疼痛で緊張している臀部周辺の筋には左右6本すつ、鍼通電とお灸を施しました。

生活スタイルや日ごろの過ごし方、姿勢など基本的な改善を継続するだけでも症状緩和につながりますので、毎回、問診で確認して気になることは指導させていただきました。

 

予後:
鍼灸治療を開始してから半年、随伴症状の肩こりや背部痛はだいぶ改善していて月1回の施術で保持しています。主訴に対しては痛みが無い時は自宅で臀部のストレッチを行うなどしていただき、現在では痛みが現れない日も増えてきたとの事で、月2回の鍼灸施術で保持しており、予後は良好であると言っても良い状態です。