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移植のタイミングに合わせて鍼灸を受けたい

Q:鍼灸院で1年ほど施術を受けていました。そこはとても軽い刺激をしてくれていたのでまだ手や足先の冷えや毎日の疲れは取れていないのですが、生理周期はだいぶきちんと整ってきて、今は高温期が14日間もつようになりそれは継続するようになったので、そろそろ体外受精を再開しようかなと思っています。この間ネットで検索したら、「移植の前と後に鍼灸治療をすると着床しやすい」と書かれているのを見たのでそれの鍼も合わせて試してみたいと思っています。鍼治療は効果があるのでしょうか。

(良江さん・35才))

 

A

鍼灸に来られる方からはこのような質問を良くお受けします。代替医療は、鍼灸の他にも整体やマッサージ、カイロなど、最近ではたくさんの医療類似行為が混在していますし、それぞれ流派があり独自の考えをもって施術に当たられていますので、その中からベストな施術方法を選択するのは。私でもなかなか難しいなぁと感じます。

 

では、どのように見極めていけばよいのでしょうか。

 

判断基準としては、不妊の鍼灸施術の症例やデータがきちんとあるかどうか、不妊治療の知識や、わかりやすい説明をしているのか、質問に対して的を得た答えをもらえているのか・・・などから判断していただくのが良いかと思います。

また、治療による改善や効果については、エビデンスが確立されているものもあれは、まだ研究中のものも多くありますので、施術者がきちんと選別して施術に当たられているのかも見極めのポイントです。

 

 

移植時に併用する鍼灸施術について

 

移植に合わせた鍼灸治療については、ドイツ・中国共同研究チーム、デンマーク、アメリカ、日本でも、「移植前後に鍼灸治療を受けると妊娠率が65%上昇する」など各学会で発表され報告がなされています(※1)

また、最近では「子宮内膜環境を高める効果があり、妊娠率が17%高まる」という報告もされています(※2)

 

子宮内膜を良好な状態に導くため、また着領率を上げたいと考えている方は、生活改善の改善と共に鍼灸で妊娠しやすい体作りをしていかれるのが良いかと思います。

 

基本的には、移植日の鍼灸は通常お受けになられている鍼灸治療(お一人お一人に合わせた東洋医学的な不妊原因に基づいた方法)を元にしています。

 ・子宮と卵巣の骨盤周辺の血流安定

 ・自律神経の安定

 ・ホルモンバランスの安定

さらに、鍼灸を継続することで

 ・卵質の改善

 ・子宮内膜の改善

さらに、妊娠後は

 ・妊娠維持するための体

 ・元気に子供と走り回れる強い体

 ・病気しにくい免疫力のある体

も大切です。

 

鍼がお体にあっていれば、採卵前から不妊鍼灸を、そして妊娠後はマタニティー鍼灸、出産後は予防鍼灸として、継続して鍼灸を受けていただけると嬉しいです。

 

 

 

※1・※2

・2002年 ドイツ・中国共同研究にて
体外受精を受けられている方を2つのグループに分け、一方のグループには移植前後に鍼治療を実施し、他方には鍼治療はせず体外受精を行った結果、鍼治療を受けたグループの妊娠率が42%上昇し、通常の治療の26.3%を上回った。
・2006年 デンマーク研究報告
胚移植時に、鍼灸治療を行った組では36%の妊娠率、鍼灸治療を併用しなかったグループでは22%の妊娠率となった。

・2006年11月 明生鍼灸院と明治鍼灸大の研究グループ

体外受精を5回以上行っても妊娠に至らなかった女性114人に鍼施術を行ったところ49人のうち4人は自然妊娠、30人は鍼施術後1回目の体外受精で妊娠。
報告された114人の施術実績は、鍼施術は週1~2回のペースで行われ、腹部や足などにある婦人科疾患に効果があるとされるツボを針で刺激した。また、妊娠した49人の内訳は、自然妊娠4人、人工授精では1人、体外受精が44人。
このうち施術後1回目の体外受精で妊娠した30人のうち9人は鍼施術を始める前に10回以上も体外受精を行いながらも妊娠できなかった不妊症だった。(読売新聞より抜粋)

・2008年 アメリカの報告
過去の7件の臨床試験より、胚移植時に鍼治療を併用した場合、鍼治療を受けた組の側が妊娠は1.65倍高く、継続妊娠は 1.87倍、生児分娩は1.91と高かった。